『奈良 食べる通信』について、その②
あ、オオガケです。
奈良へ居を移して、丸6年になろうとしています。
ついに、引っ越します。近鉄奈良から大和西大寺へ……。近いけど(笑)
西大寺エリアをホームグラウンドとしているみなさん、よろしくお願いします。
そもそも、なぜ、東京から奈良へ引っ越したのかというと、『クーカル』のイベント運営のためでもあったのですが、2010年度と2011年度の2年間にかけて、奈良県の事業である「県産農産物活用推進ナビゲート事業」というものをさせていただくためでした。
うやうやしい名前ですが、要は、県産の農産物や加工品などを、県内外のレストランにピーアールするのが事業の目的でした。
農家さんに会いにいって話を聞き、シェフに食材の魅力を伝え、サンプルを渡したりいていました。仕入れの仲立ちもしましたし、東京と大阪でシェフ向けの試食会を開いたこともあります。
『ばあく』の泉澤農園に一週間泊まり込んで、養豚や野菜作りの体験をさせていただいたのもこのタイミングでした。
しかしながら、その頃は、奈良のレストランでも、けっこう冷ややかな対応が多かったと記憶しています。
「何かメリットあるの?」
「品質のわりに高いよね」
「配達してくれないと無理だな。取りに行く時間もないし、送料をかけたくない」
などなど。
「ナビゲート事業(略)」は2年間で終了しましたが、『クーカル』から『シェフェスタ』へと引き継いだ『奈良フードフェスティバル』は、今年でもう7回目。
シェフが作る奈良食材を使った料理を食べていただくイベントを続けてきた甲斐があってか、奈良の食材を使うレストランがたくさん増えました。
それは、本当にうれしいことです。
では、なぜ増えたのでしょう?
若い生産者が出てきたり、直売所が増えたり、食材のクオリティが上がったり、いろいろな理由があるとは思いますが、一番は生産者とシェフがつながる機会が増えたからだと思っています。
『シェフェスタ』をはじめ、マルシェなどのイベントで直接会う機会が増えたこと。
また、facebookの普及で、実際に会っていなくても、生産者の情報をシェフが見やすくなったことも大きいのではないかと。
食材を大切に扱うのは、料理人としての基本です。
しかし、その食材を手にしたときに、生産者の顔が浮かぶものは、もっと大事に扱います。
その人の想いや、生産に伴う苦労などを知っていれば、なおさらです。
食材を生かし、よりおいしく食べてもらいたい。
その想いは、料理を確実に変えていきます。
逆もまたしかりで、生産者もシェフとつながり、言葉を交わすことで野菜作りへの気持ちや姿勢が変わると言います。
「あのシェフは厳しいから、変なもん作れないよね」
「新しい野菜作ってくれって頼まれちゃってさ、挑戦してみるわ」
などなど。
そういう話をする生産者の口調は、いつも楽しげです。
野菜を作る人と料理する人、この両者がつながることで、こんなにもエネルギーが生まれるのかと感心する場面をいくつも見てきました。
このエネルギーを一般の人にも感じてもらいたい。
『奈良 食べる通信』には、そんな思いも込めています。
ではここで、『東北食べる通信』の編集長、高橋博之さんの言葉を借ります。
「日頃食べている食べものの中で、生産者の顔がわかるものがありますか?」
これは、都会に住む人ほど、わからないと思います。
だって、自分がそうだったから。
もちろん、レストランはハレの食事であり、毎日の食事とは違います。
では、月に一度でも、〇〇さんが作った野菜や肉を食べる日があったら、楽しいと思いませんか?
いつもなら、適当に炒めて終わる料理も、もっと手をかけたくなると思いませんか?
あるいは、できるだけ新鮮な状態で、シンプルに食べてみたいと思いませんか?
『奈良 食べる通信』では、作り手の想いと物語をしっかりと伝えていきます。
facebookを通して、生産者のリアルな声を聴いてください。
そして、届いた食材を手に取ってください。
きっと、普段手にしている食材とは違う感情が湧き上がると思います。
今度は、みなさんから生の感想を伝えてください。
その声が、きっと生産者のチカラとなります。
つながることで、食と農が変わっていく。
そんな体験をしていただけたら幸いです。
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